日常の中で、ふと「なぜだろう?」と感じる瞬間はありませんか?
そうした小さな気づきを大切にしながら、「テーマを見つける」「調べる」「伝える」力を育む出前授業を行っているのが、日本テレビ放送網株式会社です。
出前授業「情報のタネの見つけ方」を担当する林さんに、報道記者としての経験をもとに、子どもたちにどのような学びを届けようとしているのか、その想いや授業の工夫についてお話をうかがいました。
「情報っておもしろい!」と感じてもらえる授業に

ー はじめに、御社の事業内容についてご紹介いただけますか?
地上波放送、放送番組の企画、制作及び販売、その他放送に関連する事業を中心に行っています。
バラエティー、ドラマ、報道、スポーツ中継だけでなく、イベントや映画、最近は動画コンテンツの制作や海外展開にも力を入れています。
ー どのような出前授業を提供されていますか。
日テレ×授業「情報のタネの見つけ方」
「キラッと光る情報のタネ」を見つけようという授業です。
「キラッと光る」とは、「あの人の話、面白そう」とか、「それは面白い視点!」と思ってもらえる要素のこと。
人とは違う独自の課題設定や、プレゼンテーションを行うために必要なことは何かを知る授業です。
ー 具体的な内容や特長などについて、もう少し詳しく教えていただけますか?
授業は「テーマを見つける」「調べる」「伝える」の3部構成で行っています。
「テーマを見つける」では発想のコツを、「調べる」ではリサーチのコツを、「伝える」ではプレゼンテーションのコツをお伝えします。
授業の中では、日本テレビのディレクターがどのように企画を立てているかを紹介する動画や、子どもたちに大人気の天気予報コーナーに密着した動画をお見せしながら、伝えたいことの「切り口」や「着眼点」を、どのように見い出し、成立させるかを考えていきます。
また、2時限分の時間をいただける場合には、インターネット検索を使ったグループワークの時間も設けて、実際にテーマを決めて掘り下げていく作業に挑戦してもらっています。
近年、学校ではアクティブラーニング型や、課題解決型の授業が取り入れられ、実践的であるがゆえに四苦八苦している生徒も多いのではないでしょうか。
確かに、探求のテーマを自分で見つけたり、それを掘り下げたりすることは簡単なことではありません。
でも、心配ご無用!
発想のコツやリサーチのコツをほんの少し知るだけで、「そんな風に取り組めば良いのか!」と一気に視界が開けます。
生徒の皆さんに「情報っておもしろい!」と感じてもらえる、そんな授業を目指しています。

ー 御社が出前授業を始めたきっかけや背景を、ぜひお聞かせください。
実は、最初に始めたのは「情報の海の泳ぎ方」という別の出前授業でした。
フェイクニュースにだまされず、情報をいかに見極めるかを、報道取材の基礎を使って学ぶ授業です。
最近よく聞かれる「マスコミはウソを流す」という批判は少し違うという私個人の思いと、このままでは民主主義が崩れてしまうのではないかとの危機感から立ち上げました。
私は、当社の出前授業の企画立案から、制作、運営まで、はじめから全てに携わってきました。
それまでは、約15年間、報道記者として仕事をしてきましたので、その時に培った知識や経験を社会に生かしたいという思いもありました。
そして、「情報の海の泳ぎ方」を実施した学校から「非常におもしろく、ためになったので、次は情報を活用する視点の授業も行って欲しい」というお声をいただき、「よし!」と腕まくりして生み出したのが「情報のタネの見つけ方」です。メディアリテラシーと一口に言っても様々な側面がありますが、この授業では情報を「活用する」「膨らます」に特化した内容にしました。
今も、この二つの授業をおすすめしています。
「いまの生の声」を聞ける「社会との接点」

ー よりよい授業を届けるために大切にしていることや工夫があれば教えてください。
その都度出会った子どもたちの率直な質問や疑問を正面から受け止めること、そして、自分の思いを、自分の言葉で伝えることを大切にしています。
社会人として、また、マスコミに携わる者として、格好付けるのではなく、みっともない部分も含めてぶつけるようにしています。苦労しながら答えたやりとりは、その後の信頼につながっている「はず」です!
ー 出前授業に携わることのやりがいや魅力は何ですか?
一に刺激。二にちょっと誰かの役に立っていると嬉しいという気持ちでしょうか。
授業を終えて会社に戻ったところ、上司から「なんか出張授業チームはみんないい顔して帰ってくるなぁ」と言われたことがあります。放送は一度に多くの人に伝えられるのがメリットですが、視聴者の顔が見えにくいという側面もあります。一方で出前授業は、児童・生徒、そして先生の顔が直接見えるので、感じる「熱」が違います。
臨場感と言いますか、日常の仕事と全く違う刺激を得られるのが魅力です。また、後日お寄せいただく感想を読んで、自分たちが伝えたいと思っていたことが「伝わった!」と確認できた時のジワーッとくる喜びは、やりがいそのものです。

ー 印象に残っている授業やエピソードがあれば、ぜひお聞かせください。
そうですね、いろいろありますね。
終業のチャイムぴったりに授業を終えたところ、「さすがテレビ局」と小学6年生に褒められたこと。グループワークの発表で抜群のマイクパフォーマンスを披露する生徒に脱帽していたところ、「実はYouTuberです」と言われて驚き、さらに脱帽したこと。後輩の講師が女子高で授業し「全くウケなかった・・・」と落ち込んでいたのを何度もなぐさめたこと。…などなど、日々闘いです(笑)
いえ、大真面目にお答えするなら、ある先生から「いつもはおとなしいあの生徒が、きょうはあんなに主導権をとるなんて驚きでした」と言われたこと。私たちの授業がその生徒のシナプスに何かいつもと違う刺激を与えられたのかもしれないと思い嬉しかったです。また、授業終了後にある生徒から「いつも自分がやっていることが合っているのか迷いがあった。今日の授業で、自分が思うように考えて良いんだと、何回考え直しても良いんだと、信じてやって良いんだと感じられて嬉しかった」と目を潤ませながら伝えられて、逆にこちらが涙いっぱいになったこと。などが深く印象に残っています。
ー 林さんにとって、出前授業はどのような存在ですか?
「いまの生の声」を聞けるとても貴重な機会であり、「社会との接点」です。
子どもたちはもちろん、情熱を持った先生方との出会いには異業種交流的な良さもあります。どこの世界にも熱い思いを持った人たちがいて、私たちが社会という漠然としたものに何かを伝えたいともがいていると同時に、先生たちは目の前にいる何十人、何百人の子どもたちに何かを伝えたいともがいている。いつも「お互い頑張りましょう!」という気持ちになれます。
自分の目で見て感じたことが宝物
ー 今後、出前授業をどのように続けていきたいとお考えですか?
私たちが学校を訪問して行う授業は数に限りが出てしまうため、「情報の海の泳ぎ方」の内容をブラウザゲームに落とし込んだ教材「あやしい情報に出会ったらどうしたらいい?」(小学校向け)の提供を2024年にはじめました。
まずはこれを全国の小学校に広げたいと思っています。
そして、出張授業については「政治・選挙の歩き方(仮)」という新しいプログラムを作って3部作にしたいとの目論見もあります。しかし、これはなかなか難しそうな予感がしますので、今のところは「夢」です(笑)。
ー 子どもたちに届けたいメッセージをお願いします。
「情報のタネの見つけ方」の授業の中で触れるのですが、「自分の目で見て感じたことが宝物」というフレーズがあります。自分が得た知識を礎に、自分の目で見て、聞いて、足を運んで現場の空気に触れて感じることで、他人とは違う「自分の思い・考え」を形作ることができるんだということを表現しています。
十人いれば十人の個性が反映されるはずで、それが何にも代えがたい、まさに自分の宝物だということです。
「みんな違ってみんないい」という、詩人金子みすゞさんの有名なフレーズがありますが、伝えたいことはそれに近いなと思っています。みんなが自分の宝物を1つは携えて、仕事をしたり、研究をしたり、将来につなげていって欲しいと思いながらやっています。
ー 最後に、日々教育現場でご活躍されている先生方へ、何かひとこといただけたらと思います。
この授業は、先生方から「自分たちで聞いていても、とてもおもしろかったです」と言っていただくことが多いです。生徒さんからの反応はもちろん嬉しいですが、先生方から「おもしろかった」と言っていただけると、それはそれでとてもやりがいがあります!大人になってから他業界の話を聞く機会は意外と少ないのではないかと思います。
貴重な授業時間の中から1~2時間をいただくことになりますので、先生方も一緒に、フレッシュな気持ちで聞いていただけると嬉しいです。
お申し込みをお待ちしています!

まとめ
日常の中にある、「キラッと光る情報のタネ」。
身近なところにも、実はさまざまな疑問や発見が隠れています。
この授業は、ちょっとした気づきから自分なりのテーマを見つけるところから始まります。
その発見をリサーチで深め、人に伝えるニュースへと育てていく――。
テレビ番組制作の現場で大切にされている「テーマを見つける」「調べる」「伝える」という視点を、日本テレビの講師がわかりやすく紹介します。
子どもたちがこれから取り組むさまざまな探究や、社会に出てからの課題に向き合う際のヒントにもつながる授業です。
林さん、ありがとうございました!
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